株式会社Hakuhodo DY Matrix(本社:東京都港区、代表取締役社長:近藤 暢章、以下Hakuhodo DY Matrix)のシンクタンク「100年生活者研究所」は、米国・中国・フィンランド・タイの4か国の生活者を対象に人生100年への受け止めを明らかにする意識調査を実施しました。
【5か国比較調査】サマリー
1.日本人は「100歳まで生きたい」と感じているのが3割で、幸福度も10点満点で5.8点と他国と比べて半分以下でした。
2.幸福度スコアが高い人ほど「100歳まで生きたい」という気持ちが強い傾向は対象5か国共通でした。
3.他の調査結果では100歳まで生きることについて7割以上が「不安が増える」と回答し、長寿国だからこそ見える社会課題が背景にあるとみられます。
4.「100歳まで生きている人が幸せそうに見える」と感じる人の6割が「100歳まで生きたい」と答えており、幸せそうな高齢者の姿を広めることで日本人の100歳まで生きたい気持ちを向上させる可能性があるとみられます。
調査結果に関する研究員コメント:田中 卓
本調査により日本は他国と比べて「100歳まで生きたい」という気持ちや幸福度が低いことがわかりました。また、各国共通で幸福度が高い人ほど、100年人生に対しても前向きである結果が示され、両者には相関関係があると言えそうです。なぜ日本は他国と比べて低い結果となったのでしょうか。ここでは他の調査結果を交えながら仮説を提示し、それを踏まえて「日本人が長生きを前向きに捉えるために何を取り組めば良いのか」についてお伝えします。
当研究所では国内の会員を対象に毎週アンケートを実施しています。そのアンケートで「100歳まで生きることは不安が増えることですか、チャンスが増えることですか」と質問したところ、「不安が増える」と回答したのが71.8%に上り、多くの人が「長生きはリスク」と捉えていることが分かりました。
高齢者が多い日本では、年金2千万円問題や老々介護といった「長生きに伴う問題」についての情報が、広く流通しています。それにより、他国と比べて「長生きの負の側面」が浮き彫りとなり、100歳まで生きたいと思う人が少なくなるという結果につながっているのかもしれません。
また、一般的に日本人は集団主義の傾向が強く、社会や他者との関係性を重視する気質があると言われています。会員アンケートでは、9割弱の人が、「100年人生で、みんなに迷惑をかけたくないという気持ちを感じる」と回答しました。「100歳まで生きたいとは思わない」人が多いことの背景に、「長生きして迷惑をかけたくない」という日本人の意識がありそうです。
その一方、集団主義的傾向の裏返しとして、8割強の人が「みんなの役に立ちたいという気持ちを感じる」と回答。もし高齢者の世話を「人と社会に役立つこと」として当たり前に認識できる社会になれば、「長生きは迷惑」と感じることなく「100歳まで生きたい」と考える人が増えるのかもしれません。
ここまで「100歳まで生きたい」と感じている日本人が少ない理由を分析しました。それでは、どうすれば現状を打開できるのでしょうか。
そのヒントとなるデータを紹介します。これは「100歳の人は幸せそうに見える」と回答した人と「100歳の人は大変そうに見える」と回答した人のそれぞれに「100歳まで生きたいか」を質問したものです。
その結果、「とてもそう思う」もしくは「そう思う」と答えたのは「100歳の人は幸せそうに見える」人が67.8%だったのに対し、「大変そうに見える」人では25.5%となり、40ポイント以上の差がありました。